児相被害110番 +

2021年版の児相被害110番(現在版)です。

自民党 鈴木貴子議員による児相被害追求

自民党鈴木貴子議員が平成28年5月13日に提出した「『児童虐待防止』政策における政府の見解及び認識等に関する質問」は児相被害問題を考えるうえで非常に大切なものだ。ぜひ、全ての子育て家庭のご両親、これから親になる皆さんにも読んで頂き、子どもさんを守るヒントを見つけて頂きたい。ここでは、この質疑応答を皆さんが読みやすいように口語に近い形にして紹介したい。この問題の深刻さが理解できるはずだ。

鈴木貴子議員は鈴木宗男氏を父に持ち、平成25年当時、最年少衆議院議員となった政治界サラブレット。

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平成12年に児童福祉法が改正されましたが、子どもの虐待死は一向になくなってはいません。さらに子どもの些細(ささい)な怪我や学校・病院の疑い通告で児相により、多くの家庭が長期に強制親子分離されていると聞いています。児相の一時保護所では職員による子供への暴力やわいせつ行為が明らかになっています。
国連の「子どもの権利委員会」からは日本児相の人権侵害が問題となり、これを止めるように勧告されています。

 

1.(質問)衆議院「青少年問題に関する特別委員会」の決議(平成11年12月10日)では平成6年に日本が守ると決めた国連子どもの権利条約児童虐待問題を扱う法的な根拠だと言っています。ところが日本の児童虐待防止法や児相のやっている事は国連や国際人権団体等から、子どもの権利条約等を違反しているとの指摘があるのです。日本政府は児童虐待防止法児童福祉法厚労省が出した通知などのすべて、子どもの権利条約に沿うように書き直すつもりはありますか?

 

(答弁)国際人権団体「等」や子どもの権利条約「等」が具体的でないですから答えられません。「青少年問題に関する特別委員会」からは、問題だとは言われていません。

 

2.(質問)平成11年7月29日の特別委員会で当時の宮下厚生大臣は、扱おうとしている「児童虐待は犯罪に近いもので殺人罪との境にあるもの」だと言い、だからこそ、その虐待防止の法律を国会に求め、児童虐待防止法が生まれたのです。それなのに、児相は「殺人罪との境」から遠く離れた子どもの怪我一つで十分な証拠もないのに多くの強制親子分離をしています。児童虐待防止法で子どもの一時保護をする時には、厚生大臣が国会審議で言った通りに「殺人罪との境」の時に限るべきじゃないですか?

 

(答弁)「殺人罪との境」ってどこからどこまでか分からないですよね。その委員会で当時の宮下厚生大臣児童虐待は「犯罪に近いもの」とは言ってますが、児童虐待防止法で一時保護する子どもの基準を今と変えると虐待を受けた子どもが保護できなくなるから、それは適切ではないです。

 

3.(質問)児相に保護された子どもに職員が施設内虐待やわいせつ行為をしていると多くのニュース報道がされています。児相の一時保護所での虐待、わいせつ行為と犯罪になる虐待が起こった児相の所長がどんな懲戒処分を受けたのですか?前年度の全ての事件とその件数を教えて下さい。

こんな事件が繰り返されないためには、児相内での犯罪の事実を国民全員に対して公開することが必要です。また児相の管理職が仕事をサボったり、一時保護所での虐待、わいせつ行為等を児相職員が見つけて内部告発したら、無条件で公益通報者保護する必要があると思います。(注:現状では通報者保護されるための条件が厳しいため普通の児相職員では保護されない)

 

(答弁)前年度の児相で起こった全ての犯罪件数は分かりません。児相職員が、児相内虐待を通報する時に公益通報者保護法に従ってくれれば保護はされています。

 

4.(質問)厚労省の指針では児相が一時保護をする時に原則、親子の同意を取る事になっていますか?(注:国連子どもの権利条約に沿っているかどうかを尋ねています)また、例外的に親子の同意を取らないで親子を分離する時はどんな時ですか?(注:子どもの権利条約ではどうしても仕方ない時にのみ司法の判断を入れてする事となっています)

5.(質問)一時保護は緊急性があって短期だからこそ例外的に親の同意を取らなくても良いとなった訳ですが、現状は長期になっているし、これで勝手に子どもを連れ去るのは違法じゃないんですか?

 

(4.と5.の答弁)
厚労省の「児童相談所運営指針」(平成2年3月5日)では一時保護は原則、子どもや保護者の同意を得て行うとなってますが、保護しないと子どもに良くないと職員が判断すれば保護できます。この指針には「緊急性があって短期で」と言う条件などは書かれていません。

 

6.(質問)児相が必要もないのに行う保護や長期保護を防ぐために、児童福祉法児童虐待防止法で決める一時保護の期間は「警察官職務執行法第3条」と同じ厳しい条件と保護の期間の長さ(注:24時間以内)に改正して大幅に短縮し、延長は認めないことが必要です。どうしても必要な例外的な時に延長を認めるとしても、延長の条件を厳格化して、裁判所の許可を必要とする制度にすべきです。いかがですか?

 

(6.と12.の答弁)
「一時保護」と「親子の面会・通信を全部禁止する処分」は、児童の適切な保護のために必要な期間だけ行うことが適当だと考えています。今、国会に出されている改正児童福祉法の案で、児童を適切に保護するために裁判所がどう関わるか考えていますので、この意見も検討してみます。

 


7.(質問)平成12年に、ノーベル賞受賞学者の江崎玲於奈氏が座長になって「教育改革国民会議」をつくり、その報告では、家庭教育について「教育という川の流れの、最初の清い水の一滴となるのは、家庭教育です。子どものしつけは親の責任であり楽しみであり、…家庭は厳しいしつけの場であり、同時に、会話と笑いのある『心の庭』です」と書かれています。政府にとって、この報告の内容は今現在も有効なものですか?(注:自民の子育ての理想は社会的養護ではなく家庭養護でそこには厳しいしつけもあるが楽しい家庭)また、児童虐待防止法第2条(注:児童虐待)と民法第822条(注:親権の懲戒権)との関係について説明して下さい。

 

(答弁)平成12年12月の教育改革国民会議報告や平成15年3月の中央教育審議会答申等を経て改正された教育基本法(平成18年、第10条第1項)では家庭教育について「父母や保護者は子どもの教育について一番の責任を持っています。生活のために必要な習慣を身に付けさせ、自立心を育て、心身がバランス良く育つように努めるように」と決められています。
 「児童虐待防止法第2条と民法第822条との関係」が何を意味するのか良くは分からないのですが、児童虐待は、子どものにため行う子どもの監護と教育を必要な範囲で行うものではないので、民法明治29年)第822条に定める懲戒ではありません。

 

8.(質問)国連子どもの権利委員会は、日本への最終見解(平成22年62項 CRC/C/JPN/CO/3)で、「委員会は、学校で問題行動のある子どもが、児相に送られている事態」が問題だと言っています。この国連委員会の見解を知っていますか?またこの国連見解に沿って国内の学校を指導すると明言してくれませんか?

 

(答弁)国連の子どもの権利委員会に政府が出した第3回政府報告を経て、子どもの権利委員会が出した最終見解(2010年6月11日)の第62項の内容は知っています。「この国連見解に沿って国内の学校を指導する」事の意味が明確ではないのですが、学校は生徒を児相に送る権限はありません。

 

9.厚労省は「児童虐待防止法に書いてある目的で行なった事は、それが間違っていても、刑事、民事の事件には、まずなりません」(「子ども虐待対応の手引き」第1章1(1))という通知を出しています。この厚労省の通知の実際の法律の根拠を答えて下さい。

 

(答弁)児童虐待防止法第6条第1項では、児童虐待を受けたと思われる子どもを発見した人は、できるだけ早く通告しなければならないとされています。(注:ここまでが法律、以降は解釈)児童虐待の事実が明確でなくても自分で児童虐待だと思った人はこの法律の決めた通告義務があり、こう言う通告は児童虐待防止法に沿ったものなら、結局は児童虐待の事実がなくても、まず刑事、民事の事件にはならないと「考えています」。

 

10.児相が他の組織から十分に監督を受けていないので、家裁の判決が児相の主張と瓜二つのラバースタンプ状態になっている問題があります。これを防ぐため、児童福祉法第28条審判(注:強制施設入所審判)の時には、児相と家裁との「事前相談」を法律で禁止して下さい。また親などの親権者を「利害関係人」という弱い立場ではなく「当事者」というより強い主張ができる立場にして、刑事事件と同じレベルのちゃんとした家庭裁判所の証拠調べをし、この第28条が定める強制施設入所措置の条件をもっと厳密にした審判を義務付けて下さい。また親などの親権者の法的代理人として働く弁護士が保護された子どもと面会できるようにして、児相が裁判所に提出する証拠を例外なく全部、親権者に知らせて審判する時にはもっと厳格に行って下さい。児相の28条審判の申立や強制施設入所措置の期間延長を認める割合を全体の3割程度にまで引き下げることを目標にして下さい。家裁審判が中立で児相と違う判断もできる第三者性を十分に確保して下さい。また、全部の「一時保護」について、中立性・第三者性を保証された裁判所が行う一時保護の前や後の審査を義務づけるべきではないですか?

 

(答弁)「児童福祉法第28条申立審判」については、家事事件手続法(平成23年 第234条)で決められている「都道府県の措置についての承認の審判事件」と「都道府県の措置の期間の更新についての承認の審判事件」について(注:子どもの強制施設入所は児相が都道府県の代理でやる事になっており、その入所と期間延長の審判は家裁でやりますと決めている法律です)、児童福祉法第236条第1項の定めに基づいて、家庭裁判所は、原則として、子どもを育てている人、子どもの親権者である親、子どもの後見人と子ども本人(15歳以上の子どもに限ります。)の主張を聴かなければならないとされています。また、第56条に基づき、裁判所の職権で事実の調査をし、必要な証拠調べをしなければなりません。また第47条に基づき、当事者と利害関係を簡単に証明した第三者は、家庭裁判所の許可を得て、事件記録の閲覧等をすることができます。家庭裁判所は、このような法律に基づき、当事者と利害関係人の手続保障をして、適切に事件の処理をしています。
 また、一時保護については、この質疑の6.と12.でお答えした通り、政府は児童福祉法第6条の3第8項で決められた保護が必要な子どもを適切に保護するための措置や手続きになるように裁判所がどう関与するかを検討する事にしていますので、ここで指摘して頂いた「意見」も含めて検討して行きたいと思います。

 

11.児相は、親など保護者の法的代理人の弁護士と、保護した子どもとの面会も認めていません。これでは子どもの権利条約第12条が定めている、子どもの意見表明権が保障されません。この弁護士の面会禁止の根拠になる実際の法律の条文を答えてみて下さい。さらに言えば、保護者が選んだ弁護士が「一時保護」されている児童に面会する時には、回数や時間の制限なく、無条件で認められるべきではありませんか?

 

(答弁)指摘して下さった「弁護士接見禁止」の事実については知りません。(注:法的根拠はなく児相が勝手にしていると言うこと)児童福祉法第33条の2第2項で定められているのは、児童相談所長は、一時保護をした子どもに必要な監護、教育、懲戒をその子どもの福祉のためにできると言う事です。一時保護中の子どもの心身の状態によっては、弁護士に面会することが子どもの福祉を害することもあるので、この「ご意見」については、慎重に考えなければなりません。

 

12.強制一時保護処分や強制施設入所処分がされると、同時に必ず親子の間の面会・通信を全部禁止する処分がされています。親子の絆は常に保ってておく必要があります。無理矢理に離されている親子の面会と通信を禁止するべきではないのです。ごく例外的に、親子の間の面会通信の禁止をするとしても、最長でも一ヶ月の短期に制限する必要があるのではないでしょうか?

 

(6.と12.の答弁)再掲示
「一時保護」と「親子の面会・通信を全部禁止する処分」は、児童の適切な保護のために必要な期間だけ行うことが適当だと考えています。今、国会に出されている改正児童福祉法の案で、児童を適切に保護するために裁判所がどう関わるか考えていますので、この意見も検討してみます。

 

13.前年度に児相がした面会通信全部制限期間(児童福祉法によるものと行政指導によるものの両方)を、その期間が長い順に月別に分けて、それぞれの期間についての具体的な統計数字を出してみて下さい。その上で、面会通信全部制限期間についてどう思われますか?

 

(答弁)児童相談所長が児童虐待を受けた子どもと保護者との面会や通信の全部を制限した期間については手元にデータがないのでお答えできません。

 

14.児相は一時保護所内で人権侵害をしている疑いがあります。児相が保護している子どもに対し、学校で義務教育を受けられていません。長い場合は一年近くも学校に通えていない様です。そんな事をしている法的根拠を、実際の法律に基づいて説明してみて下さい。さらに文科省は、平成27年7月31日に、児相に保護された生徒は、学習指導要領にで決められた期間やカリキュラムの教育をうけずともその生徒を出席扱いとすることを認めています。(平成27年 文科初第335号通知)これは、日本の憲法第26条の教育権の保障に違反するのではないですか?また、この文科省の通知について、法令の根拠と、文部科学省の従来からの学習指導要領についての主張と噛み合ってませんがどう考えているんですか?

 

(答弁)質疑11.でお答えした通り、児童福祉法第33条の2第2項で、児童相談所長は、一時保護をした子どもに必要な監護、教育、懲戒を子どもの福祉のためすることができます。
 また、「一時保護等が行われている児童生徒の指導要録に係る適切な対応及び児童虐待防止対策に係る対応について」(平成27年7月31日付け 文科初第335号 局長通知)は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第48条第1項等で定まった指導等として、都道府県教育委員会等に対して、一時保護等が行われている生徒が児相で相談・指導を受ける場合であって、その生徒の自立を支援する上でその相談・指導が有効・適切であると判断されて、一定の条件を満たすときには校長は指導要録では出席扱いとすることができることを示しています。また、この局長通知では、一時保護等が行われた生徒が学校に復帰した時、その学校は生徒の状況に応じ補習等を実施し、小中学校における各学校の課程の修了や高等学校における単位の認定等を適切に行うことが望ましいとしています。(注:つまり、何もしなくても保護中の子どもが義務教育を受けた事にしているのではなく、児相内で相談・指導を受けてもらったり、保護が終わって学校に復帰したらできるだけ補習等をやってもらったりの条件を満たしてくれたら認めてますよ、と言いたいようだ)
 ですから、局長通知は「学習指導要領に基づいた所定の期間・カリキュラムの教育をうけなくても生徒を出席扱いとする」ものではなく、一時保護等が行われている生徒の教育を受ける権利を侵害するものではないです。このため、日本の憲法第26条に反していないと考えています。

 

15.一時保護所や児童養護施設などで、子どもを管理する目的で、子どもに向精神薬が投与され、また反抗する子どもが、精神病院へ送られているそうですが、それは事実なんですか?

 

(答弁)お尋ねの「子どもを管理する目的」の意味がよく分かりませんが、児童福祉法第33条の2第2項や第47条第3項に基づいて、児相の所長や児童福祉施設の施設長は、一時保護所や児童福祉施設に入所中の子どもに、福祉のために必要な児相の児童精神科医による診断や児童精神科への入院等の適切な援助を行う事があるのは知っています。

 

16.児童福祉法第47条第3項にある施設長の措置権が、違法に親権・監護権を超えたものとして扱われている実態があります。この条文は、親などの親権者・監護権者に子どもを連れ戻すことを許さないのが唯一の目的だとの意見さえあるのです。従って、施設入れられている全ての子どもについて、親などの親権者・監護権者の親権をきちんと認めるとともに、この児童福祉法第47条第3項の条文は廃止すべきとの意見もあります。どうお考えですか?

 

(答弁)児童福祉施設に入所中の子ども等に親権者や未成年後見人がいても施設に入所した子ども等を心身ともに健やかに育てるために、児童福祉施設の施設長は、必要な監護、教育、懲戒措置を行うことがありますから児童福祉法第47条第3項は必要だと考えています。

 

17.効率的な児童虐待防止政策を行うために、児童虐待防止について先進的な政策をとるオランダ等諸外国に学んで、親子の分離は最長一年程度にとどめるべきです。その後は、必要に応じ家裁が決定した後見人をつけて、親から離れた子どもは一年以内に家庭に戻しましょう。行政の在宅支援に支えられてそれぞれの家庭の自助努力で子どもの健全に育てる政策へと大きく変えるべきだとの意見もあります。これについて、どうお考えですか?

 

(答弁)都道府県の代理で児相が、子どもに施設入所等に入れてから一年位たった後でも、入所措置を続けなければ保護者がその子どもを虐待したり、きちんと監護せず、その他にも非常にその子どもの福祉を害するおそれのある場合等もありますから、お尋ねの「意見」については、慎重な検討が必要だと考えています。

 

18.国連子どもの権利委員会は、私たちの国の児相システムに人権上の問題があるとしており、平成22年の最終見解の第63項で「児童相談所のシステムとその作業方法について、リハビリテーションの成果についての評価も含め独立した調査をするように求め、次回の定期報告にこの調査結果について報告するようにとの勧告」を出しています。政府は、この国連子どもの権利委員会の求める「独立した調査」を行ってますか?行っているなら、どの程度進んでいるのか答えて下さい。

 

(答弁)この最終見解については、法的にどうしてもやらなければならないものではないですが、その内容等を十分に検討して、日本政府として適切に対処していく必要があると考えています。この最終見解で示された「独立した調査」は行っていませんが、「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」(平成27年12月21日 子どもの貧困対策会議決定)をこれからやって、児相の一時保護所について第三者が評価する仕組みを作れるよう検討して行きたいと思います。

 

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自民党鈴木貴子議員が平成28年5月13日に提出した「『児童虐待防止』政策における政府の見解及び認識等に関する質問」の原文はこちら

「児童虐待防止」政策における政府の見解及び認識等に関する質問主意

衆議院議員鈴木貴子君提出「児童虐待防止」政策における政府の見解及び認識等に関する質問に対する答弁書